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奈良漆器パートⅠ

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奈良漆器パートⅠ

 奈良は漆工芸発祥の地である。正倉院、法隆寺、東大寺、薬師寺、春日大社には漆工芸のお手本となる国宝や重要文化財が多数あるので広まっているのであろう。漆塗りは有名な所として会津、紀州、越前、山中などがあるが特に輪島塗は地震の被害から再生できるかどうかである。ある方から紹介いただいて、奈良漆器の工房に行って職人の方に話を聞いた。樽井工房の樽井喜酔さん、漆器の螺鈿では有名な方である。私が質問したのだが「能登の大地震で輪島塗が大変そうですが、その工程が百以上あるので1人でも職人さんが居ないとできないと言われてますが。」というと私はこの作品を作るのに全部1人でやっている。一人でもかけるとできないことはないと言う。樽井氏の場合、板に漆を塗るだけでなく螺鈿の貝を探して削って埋め込むという作業をしなければならない。では輪島塗でなぜたくさんの工程に分けたかというと、その工房を買収して乗っ取られないようにするためだという。

 

塗師、これでぬりしではなく「ぬし」と読む。漆で塗ってその後に削って貝を埋め込む。漆自体はそう高くはないがむしろ高いのは貝の方だという。この貝はアワビ貝、夜光貝、蝶貝では白蝶貝と黒蝶貝があるが厚貝と薄貝に分けて使うらしい。これがかなり凝った仕事で複雑である。一人ですべての工程を仕上げて完成させなければならない。正倉院で有名な国宝の「螺鈿紫檀琵琶」であるが今から1300年以上前に作られたらしい。