東大寺(筒井寛昭)
和楽という雑誌のライターをされている安川さんにお世話していただき、東大寺の別当を務められ現在は、長老として東大寺の生き字引といわれる筒井寛昭様にお会いすることができた。東大寺の塔頭の1つである龍松院の院主をされている。よくあちこちで講演をされているが拓本家でも有名である。なかなか塔頭にお邪魔する事はないと思うが良い機会であった。龍松院の門前はよく時代劇や映画に使われているらしい。この龍松院は公慶上人が建てられた。大仏殿が戦により炎上し大仏様の頭が溶けてこの大仏復興の再建に大きく関わった人物である。中に入ると玄関に大きな拓本、多分仏像で何かはわからなかったが又大きな胡蝶蘭が置いてあり風情と歴史を感じる。お庭がきれいで片隅に瓦が置いてあり、前の修理とその前々修理で残った物である。よく見ると東大寺と瓦に名前が彫ってある。以前に筒井長老の拓本は皇室にも献納されている。昔、中国では書聖の王義之(おうぎし)らの字を手本にする為に拓本をとった。日本にも伝わり明治になると僧侶が仏像や銘文などに水を含ませて紙を貼り、その上に薄墨を付けて拓本をとったらしい。現在では文化財保護から国宝や重文の拓本が困難になりつつある。筒井長老の拓本は大変貴重である。いろいろなお話を聞かせてくださり最後にご本までいただいた。感謝しかない。